青色申告65万円控除の条件|55万円・10万円になる分かれ目と会計ソフトの設定【令和8年分】

青色申告65万円控除の条件|55万円・10万円になる分かれ目と会計ソフトの設定【令和8年分】

公開 2026-11-04 ・ 著者 マコト

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青色申告にしても、控除額は自動で65万円にはなりません。65万円・55万円・10万円のどれになるかは、帳簿のつけ方、添付する書類、提出日、提出方法の4つで決まります。この記事では、2027年2月16日〜3月15日に提出する令和8年分(2026年1〜12月の所得)について、条件の分かれ目と、会計ソフトで確認・設定する場所をまとめます。

結論

令和8年分で65万円を受けるには、複式簿記で記帳 → 貸借対照表・損益計算書を添付 → 2027年3月15日までに → e-Taxで送信の4つをすべて満たします。

  • 4つ目を紙の提出にすると55万円。e-Taxの代わりに優良な電子帳簿の保存と届出でも65万円になる
  • 3月15日を過ぎて出すと10万円。55万円ではない
  • 会計ソフトで簿記と決算書はそろう。控除額の選択とe-Tax送信は自分で行う

65万・55万・10万円の条件(令和8年分)

国税庁のタックスアンサー「No.2072 青色申告特別控除」(令和8年4月1日現在法令等)の要件を、控除額ごとに並べます。

条件65万円55万円10万円
青色申告の承認を受けている必要必要必要
事業所得か不動産所得を生ずべき事業を営む必要必要不要
正規の簿記(一般的には複式簿記)で記帳必要必要簡易帳簿でよい
貸借対照表・損益計算書を申告書に添付必要必要不要
確定申告期限(翌年3月15日)までに提出必要必要不要
e-Taxで送信、または優良な電子帳簿の保存と届出どちらか必要不要不要

現金主義による所得計算の特例を選んでいる人は、55万円・65万円控除を受けられません。また、控除額は事業所得(と不動産所得)の金額が上限です。開業1年目で所得が40万円なら、65万円の要件を満たしていても控除されるのは40万円です。

表の条件を上から順にたどると、控除額は次の図のように分かれます。

前提:青色申告の承認を受けている(令和8年分) 複式簿記で記帳し 貸借対照表を添付? いいえ:簡易帳簿など 10万円 貸借対照表の添付なし はい 2027年3月15日 までに提出? いいえ:期限後に提出 10万円 55万円にはならない はい e-Taxで送信か 優良な電子帳簿? どちらもない 55万円 紙で提出した場合 はい どちらかあり:4つの条件をすべて満たす 65万円 e-Taxで送信、または優良な電子帳簿の保存と届出 控除額は事業所得(と不動産所得)の金額が上限
上から順に「はい」が続けば65万円。1つ目か2つ目で止まると10万円になる(令和8年分)

自分がどれに当たるか:上から順に確認する

  1. 青色申告承認申請書を期限内に出したか。出していなければ白色申告で、青色申告特別控除はない
  2. 複式簿記で記帳し、貸借対照表を作れるか。できなければ10万円
  3. 2027年3月15日までに提出できるか。過ぎれば10万円
  4. e-Taxで送るか、優良な電子帳簿の保存と届出をしているか。どちらもなければ55万円、どちらかあれば65万円

1. 青色申告承認申請書の期限

承認申請書の提出期限は、青色申告にしたい年の3月15日までです。その年の1月16日以後に開業した場合は、開業日から2か月以内になります(No.2070)。

2026年の途中で開業した人は、開業日から2か月以内に出していれば令和8年分から青色です。期限を過ぎていた場合、令和8年分は白色で申告し、2027年3月15日までに申請書を出して令和9年分から青色にします。開業届と一緒に作れるサービスの比較はfreee開業 vs マネーフォワード クラウド開業届にあります。

2. 複式簿記と貸借対照表

会計ソフトで明細を登録していれば、帳簿は複式簿記で作られ、決算時に貸借対照表と損益計算書が出力されます。表計算や手書きの現金出納帳だけで記帳している場合は、簡易帳簿にあたり10万円です。

注意したいのは、ソフトを使っていても貸借対照表の中身が実際と合っていないケースです。口座残高が帳簿とずれたまま、事業用と私用の口座が混ざったままでは、決算書は出力できても正しい帳簿とはいえません。12月〜1月に残高を突き合わせる手順はfreeeで確定申告するやり方の決算前チェックにまとめています。

3. 期限を1日でも過ぎると10万円

55万円控除も65万円控除も、確定申告期限までの提出が要件に入っています。期限後に出すと、この2つの要件を満たさない青色申告者として10万円になります。「期限を過ぎたら55万円に下がる」のではありません。

令和8年分の期限は2027年3月15日(月)です。土日による繰り下げはありません。e-Taxで送る場合も、この日までに送信が終わっている必要があります。

4. e-Taxか、優良な電子帳簿か

65万円と55万円の違いは、この1点だけです。

方法やること向いている人
e-Taxで送信会計ソフトからマイナンバーカードで電子申告するほとんどの人
優良な電子帳簿仕訳帳・総勘定元帳を要件どおりに保存し、届出書を期限までに出すマイナンバーカードを使えない人、令和9年分の75万円を見込む人

令和8年分の申告に間に合わせるなら、e-Taxのほうが準備は少なく済みます。

e-Taxで出す:マイナンバーカードの準備

会計ソフトから電子申告するには、マイナンバーカードの電子証明書を使います。e-TaxのID・パスワード方式は、国税庁の確定申告書等作成コーナーでだけ使える送信方式で、会計ソフトからの送信には使えません。この方式は令和9年分の確定申告からは使えなくなる予定です。

ロックや期限切れの対処はfreeeで確定申告するやり方のエラー対処の節にあります。freee以外のソフトでも、カードまわりの手順は同じです。

優良な電子帳簿で65万円にする場合

e-Taxを使わずに65万円を受ける方法です。国税庁は令和4年分以後の要件を次のように示しています。

優良な電子帳簿の要件は、訂正・削除の履歴が残ること、帳簿どうしの記録がたどれること、検索できることなどです。対応している会計ソフトでは、設定をオンにすると要件に沿った形で記録されます。

会計ソフトで確認・設定する場所

3社とも、65万円控除に必要な複式簿記の帳簿、決算書、e-Taxでの提出に対応しています。違うのは、控除額と電子帳簿の設定場所です。

freee会計マネーフォワード クラウド確定申告やよいの青色申告 オンライン
控除額を選ぶ・確かめる場所確定申告の「基本」ステップで、申告書の種類(青色申告)と控除額を選ぶ「申告情報」画面で申告区分「青色申告」を選び、「青色申告特別控除」で控除額を選ぶ確定申告のワークフローの「最終確認」で「青色申告特別控除額の計算」を確認する
e-Taxの送り方スマホアプリでマイナンバーカードを読み取って送信スマホアプリで提出、またはxtxファイルをe-Taxソフトで送信ソフトからe-Taxで提出
優良な電子帳簿「事業所の詳細設定」で「優良電子帳簿」を「使用する」にする「申告情報」画面の「電子帳簿保存法に関する設定」で「仕訳履歴保存機能を利用する」にチェック特別な設定なしで、使い始めた日から優良な電子帳簿として保存される(公式の案内)

freee会計

確定申告の書類は「基本」→「収入・経費」→「控除」→「申告」の順に質問に答えて作ります。最初の「基本」ステップで提出する申告書を選ぶ欄があり、ここで青色申告と控除額を選びます。紙で出すつもりで55万円を選んだまま、e-Taxで送ると控除が55万円のままになるので、提出方法を電子申告にしたらこの欄も見直します。

優良電子帳簿を使う場合は、「その他設定」→「事業所の詳細設定」で仕訳番号形式を「数字」か「英数字」にしてから、「優良電子帳簿」を「使用する」にして保存します。

マネーフォワード クラウド確定申告

「申告情報」画面の「申告内容」で「事業所得や不動産所得を申告」を選び、「申告区分」を「青色申告」、「青色申告特別控除」で控除額を選んで保存します。電子申告は、同じ画面の「提出方法」で「e-Taxで電子申告」を選ぶとxtxファイルをダウンロードでき、e-Taxソフトで送信します。マネーフォワード クラウド確定申告アプリなら、マイナンバーカードを読み取ってスマホから提出できます。

図1はマネーフォワードのヘルプに載っている「申告情報」画面で、申告区分と提出方法を選ぶ欄です。

マネーフォワード クラウド確定申告の申告情報画面の申告設定。申告区分で青色申告、提出方法でe-Taxで電子申告が選ばれている
申告区分は「青色申告」、提出方法は「スマホアプリで提出」「e-Taxで電子申告」「窓口・郵送で提出」の3つから選ぶ

出典:マネーフォワード クラウド確定申告 サポートサイト「e-Taxで電子申告」

やよいの青色申告 オンライン

弥生は、やよいの青色申告 オンラインがJIIMAの電子帳簿ソフト法的要件認証を受けていて、特別な設定なしで仕訳帳・総勘定元帳が優良な電子帳簿として保存されると案内しています。控除額は、確定申告のワークフローの「最終確認」にある「青色申告特別控除額の計算」で確かめます。

3社の料金やスマホアプリでできる範囲の違いは、ひとり親方の会計ソフト比較とマネーフォワード vs やよいの青色申告で比べています。

控除額の差は、所得税でいくらか

控除は所得から差し引く額なので、税金が減るのは控除額に税率を掛けた分です。所得税の税率は課税所得の金額で決まります(No.2260)。控除額の差がそっくり同じ税率の区分に入る場合の、所得税の差額は次のとおりです。

課税所得税率65万円と55万円の差(10万円分)65万円と10万円の差(55万円分)
195万円未満5%5,000円27,500円
195万円以上330万円未満10%10,000円55,000円
330万円以上695万円未満20%20,000円110,000円

表は所得税だけの計算で、復興特別所得税と住民税は含めていません。控除で所得が減ると住民税も減るので、実際の差はこの表より大きくなります。

e-Taxで送るだけで55万円が65万円になる人は、所得税だけで5,000〜20,000円を取り逃がしています。期限後の提出で10万円になると、差は数万円以上です。

無料プランで65万円控除は取れるか

65万円には複式簿記の帳簿、貸借対照表、e-Taxでの送信が要るので、会計ソフトの無料の範囲でこれが全部できるかで決まります。やよいの青色申告 オンラインはセルフプランとベーシックプランが初年度1年間無料で、2年目以降はセルフが年11,800円(税抜)です。各社の無料プランや無料期間でどこまでできるかは無料の会計ソフトおすすめで整理しています。

令和9年分(2027年分)からの変更

令和8年度税制改正で、青色申告特別控除の区分が変わります。財務省の税制改正の大綱と国税庁のリーフレット(R8.4)によると、令和9年分以後の所得税から適用されます。2027年2〜3月に出す令和8年分には関係しません。

図2は国税庁がこの改正について出しているリーフレット(R8.4)の表面で、簡易簿記の10万円控除の対象が変わる点を案内しています。

国税庁のリーフレット「簡易簿記による10万円の青色申告特別控除を適用している皆様へ」の表面。令和9年分以後、前々年の収入金額が1,000万円超の簡易簿記は0円(控除対象外)、複式簿記とe-Taxで65万円または75万円とする表がある
令和9年分以後の改正前後の控除額の表。簡易簿記で前々年の収入金額が1,000万円超なら0円、複式簿記+e-Taxなら65万円または75万円

出典:国税庁「簡易簿記による10万円の青色申告特別控除を適用している皆様へ」(R8.4)

記帳と提出の方法令和8年分(2027年提出)令和9年分以後(2028年提出〜)
複式簿記+期限内+e-Tax65万円65万円
上記+優良な電子帳簿など65万円75万円
複式簿記+期限内+紙で提出55万円10万円
簡易簿記(前々年の収入金額1,000万円以下)10万円10万円
簡易簿記(前々年の収入金額1,000万円超)10万円0円(対象外)

55万円控除の要件にe-Taxでの提出が加わって65万円になるため、複式簿記でも紙で出すと10万円になります。75万円は、65万円の要件(複式簿記+e-Tax)に加えて、一定の要件を満たす優良な電子帳簿を作成・保存している場合です。

今のうちに会計ソフトからe-Taxで送る流れを作っておけば、令和9年分も65万円を維持できます。75万円を見込むなら、2027年1月1日の最初の仕訳から優良な電子帳簿の設定を使っておきます。75万円の届出などの手続きの細目は、国税庁の案内が出てから確認してください。

会計ソフトをこれから選ぶ人へ

3社の比較はひとり社長の会計ソフトおすすめ3選にまとめています。

優良な電子帳簿が設定なしで

★★★★★ 4.5

複式簿記の帳簿、青色申告決算書、e-Taxでの提出に対応。仕訳帳・総勘定元帳は特別な設定なしで優良な電子帳簿として保存されると案内されています。セルフ・ベーシックは初年度1年間無料、2年目からセルフ年11,800円・ベーシック年22,800円(税抜)。初年度無料には口座振替かクレジットカードの登録が必要です。

\セルフ・ベーシックは初年度1年間無料/

やよいの青色申告を初年度無料で始める
質問に答えてe-Taxまで

★★★★★ 4.5

確定申告の書類は◯✕の質問に答えて作り、スマホアプリからマイナンバーカードで電子申告できます。優良電子帳簿は事業所の詳細設定でオンにできます。

\スマホとマイナンバーカードで電子申告/

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よくある質問

青色申告特別控除65万円の条件は何ですか?

令和8年分は、事業所得か不動産所得を生ずべき事業を営み、正規の簿記(一般的には複式簿記)で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添付して3月15日までに申告すること(55万円の要件)に加えて、e-Taxで送信するか、仕訳帳と総勘定元帳を優良な電子帳簿として保存し届出書を出すことです。

確定申告の期限を過ぎたら55万円控除になりますか?

なりません。55万円控除も65万円控除も、確定申告期限(翌年3月15日)までの提出が要件です。期限を過ぎて提出すると、複式簿記で記帳しe-Taxで送っても控除は最大10万円になります。

紙で提出すると控除はいくらになりますか?

令和8年分は、複式簿記・貸借対照表の添付・期限内提出を満たしていれば55万円です。優良な電子帳簿の保存と届出をしていれば紙でも65万円になります。令和9年分からは55万円の区分がなくなり、複式簿記でも紙で出すと10万円になります。

マイナンバーカードがなくても65万円控除を受けられますか?

会計ソフトから電子申告するにはマイナンバーカードが要ります。e-TaxのID・パスワード方式は国税庁の確定申告書等作成コーナーでだけ使える送信方式で、令和9年分の確定申告からは使えなくなる予定です。e-Taxを使わない場合は、優良な電子帳簿の保存と届出で65万円の要件を満たす方法があります。

会計ソフトを使えば自動で65万円になりますか?

なりません。会計ソフトは複式簿記の帳簿と貸借対照表を作りますが、控除額の選択、e-Taxでの送信、期限内の提出は自分で行います。マネーフォワード クラウド確定申告では「申告情報」画面で青色申告特別控除の金額を選び、freee会計では確定申告の「基本」ステップで申告書の種類と控除額を選びます。

令和9年分から青色申告特別控除はどう変わりますか?

令和8年度税制改正により、令和9年分以後は55万円控除の要件にe-Taxでの提出が加わって65万円に、65万円の要件に優良な電子帳簿の保存などが加わると75万円になります。簡易簿記で前々年の収入金額が1,000万円を超える人は10万円控除の対象から外れます。2027年2〜3月に提出する令和8年分は現行の65万・55万・10万円のままです。

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