法人の決算・申告は自分でできる?ひとり社長の1期目にやること・期限・ソフト【2026】

法人の決算・申告は自分でできる?ひとり社長の1期目にやること・期限・ソフト【2026】

公開 2026-11-04 ・ 著者 マコト

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会社を作って最初の決算日が近づくと、個人の確定申告とは別の作業が待っています。法人は決算書を作り、法人税・地方税の申告書を、税務署・都道府県・市区町村の3か所に、決算日の翌日から2か月以内に出す必要があります。この記事では、何を・いつまでに・どこへ出すかを先に示し、そのうえで会計ソフトだけで自分で終えられるか、税理士に頼むほうがよいのはどんな場合かを整理します。

結論

売上と経費の取引が少なく、従業員がおらず、消費税の免税事業者のままなら、会計ソフトと申告ソフトで自分で申告できます。
  • 期限は事業年度終了の日の翌日から2か月以内。申告も納付も同じ日まで
  • 赤字でも均等割(標準で年7万円)がかかるので、申告は必ず出す
  • 3社のうち法人税の申告書まで自社製品で作れるのはfreeeだけ(freee会計+freee申告で年65,560円・税抜)。マネーフォワードと弥生は達人シリーズとの組み合わせになる
  • 従業員がいる、消費税の課税事業者である、役員報酬をこれから決める、のどれかに当てはまるなら税理士に頼むことを検討する

1期目の決算から申告までの流れと期限

法人税の確定申告書は、各事業年度終了の日の翌日から2か月以内に税務署へ提出します(法人税法74条1項)。たとえば3月31日が決算日なら、期限は5月31日です。法人住民税・法人事業税の申告期限も同じく2か月以内で、税金の納付もこの期限までに済ませます。

決算日 例:3月31日。定款で決めた日 決算日から1か月目 残高合わせ・決算整理 → 決算書を確定 決算日から2か月目 申告書・内訳書・概況書を作って提出 期限:翌日から2か月以内 例:5月31日。申告も納付もこの日まで
法人税・地方税とも、申告と納付の期限は事業年度終了の日の翌日から2か月以内
時期やること
設立後2〜3か月以内法人設立届出書、青色申告の承認申請書などの届出(次の節)
毎月口座・カードの明細を会計ソフトに登録する
決算日の前後現金・預金の残高合わせ、未払・未収の計上、固定資産の減価償却
決算日から1か月目決算書(貸借対照表・損益計算書など)を確定させる
決算日から2か月目法人税・地方税の申告書、内訳書、概況書を作って提出し、納付する

1期目は事業年度が12か月より短いことがよくあります。決算日は定款で決めた日なので、設立日に関係なく最初の決算日がきます。

申告期限の延長は、ひとり社長にはほぼ関係ない

定款等の定めにより、決算日の翌日から2か月以内に定時総会が招集されない常況にある法人は、申請すれば申告期限を1か月延ばせます(法人税法75条の2)。申請はその事業年度の終了の日までに出す必要があります。

ただ、延びるのは申告書の提出期限で、延長した期間の分の法人税には利子税がかかります。社員や株主が自分1人で、総会をいつでも開ける会社が使う制度ではありません。2か月で終わる段取りを組む前提で考えてください。

設立直後に済ませておく届出

1期目の申告の内容に直接効く届出があります。期限を過ぎると1期目には間に合いません。

届出期限出さないとどうなるか
法人設立届出書(税務署)設立の日以後2か月以内。定款等の写しを添付―
法人設立・設置届出書(都道府県・市区町村)自治体ごとに定める。東京都は事業を開始した日から15日以内―
青色申告の承認申請書設立の日以後3か月を経過した日と、1期目の事業年度終了の日のいずれか早い日の前日まで1期目の赤字を翌期以降に繰り越せない
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書任意。提出した月の翌月に源泉徴収する分から適用役員報酬の源泉所得税を毎月翌月10日までに納める

青色申告の承認を受けて確定申告書を出した期の赤字(欠損金)は、翌期から10年間繰り越して、その後の黒字と相殺できます。中小法人は繰越控除前の所得の全額まで控除できます。条件は、赤字の期に青色の確定申告書を出し、その後も連続して確定申告書を出すことです。1期目は設備や設立費用で赤字になりやすいので、この申請は落とさないでください。

役員報酬は期首から3か月以内に決める

自分への役員報酬を経費(損金)にするには、原則として毎月同じ額を払う「定期同額給与」にします。額を変えられるのは、事業年度開始の日から3か月を経過する日までの改定などに限られます。途中で増やした分や、利益が出たから決算前に払う賞与は、原則として損金になりません。

役員報酬を払うと、会社は源泉所得税を差し引いて納める立場になります。給与の支給人員が常時10人未満なら、納期の特例の申請で、1〜6月分を7月10日、7〜12月分を翌年1月20日にまとめて納められます。

提出するもの:3か所に、決算書と申告書

提出先税目主な書類
税務署法人税・地方法人税法人税の確定申告書(別表)、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書(合同会社は社員資本等変動計算書)、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書
都道府県(東京23区は都税事務所)法人事業税・法人道府県民税地方税の確定申告書
市区町村(東京23区は不要)法人市町村民税地方税の確定申告書

申告書に添付する書類は、法人税法施行規則35条で決まっています。貸借対照表・損益計算書と株主資本等(社員資本等)変動計算書に加えて、勘定科目ごとの内訳明細書と事業等の概況に関する書類(法人事業概況説明書)が要ります。内訳書は、預金・売掛金・買掛金・借入金などの残高を相手先ごとに書く書類です。決算書の数字だけでは作れないので、期末に相手先別の残高を出せるように記帳しておく必要があります。

東京都の23区内に本店がある法人は、市町村民税に当たる分も都民税として都税事務所に申告します。23区外の市町村にある法人は、都税事務所と市役所・町村役場の両方に申告します。

会社(本店) 税務署(e-Taxで送信) 法人税・地方法人税 別表・決算書・内訳書・概況書 都道府県(eLTAXで送信) 法人事業税・法人道府県民税 地方税の確定申告書 市区町村(eLTAXで送信) 法人市町村民税 地方税の確定申告書 東京23区内の本店は、都道府県と市区町村の分を 都税事務所にまとめて申告する
税務署には法人税、都道府県と市区町村には地方税。電子なら送り先はe-TaxとeLTAXの2つ

消費税は1期目は原則不要。ただしインボイス登録をしていれば必要

資本金1,000万円未満の法人は、設立1期目と2期目は基準期間がないので、原則として消費税の納税義務が免除されます。資本金1,000万円以上で設立した法人は1期目から課税事業者です。また、取引先の求めでインボイス発行事業者の登録をした法人は、免税の条件に当てはまっていても課税事業者になり、消費税の申告が加わります。

赤字でもかかる均等割

法人税は所得にかかるので、所得が0円なら法人税も0円です。所得年800万円以下の部分の法人税率は、資本金1億円以下の普通法人で15%です。

一方、法人住民税の均等割は所得に関係なくかかります。東京都主税局は、均等割は「決算の状況にかかわらず」資本金等の額と従業者の数に応じて課税され、赤字決算でも法人都民税の申告と納付が必要だと案内しています。

区分標準税率(年額)
道府県民税の均等割(資本金等1,000万円以下)2万円
市町村民税の均等割(資本金等1,000万円以下・従業者50人以下)5万円
合計7万円

市町村民税は自治体が標準税率の1.2倍まで上乗せできるので、所在地によっては7万円を超えます。1期目は、事務所を置いていた月数で月割りします(地方税法52条3項)。たとえば事業年度が6か月なら、標準税率で3万5,000円です。

赤字の期でも、均等割を払い、青色の確定申告書を出しておくことで、欠損金を翌期以降に繰り越せます。会社形態ごとの税金の違いは合同会社と株式会社の比較で、均等割を含めて整理しています。

e-TaxとeLTAXで出す

電子申告が義務になっているのは、事業年度開始の時の資本金の額が1億円を超える法人などです。ひとり社長の会社は、紙で出しても電子で出しても構いません。紙で出す場合は、図1のような所轄の税務署と、都道府県・市区町村にそれぞれ書類を出します。

江戸川北税務署の外観。門の横に「時間外文書収受箱」の案内板がある
税務署の外観の例(江戸川北税務署)。門の横に「時間外文書収受箱」の案内がある

出典:Wikimedia Commons「Edogawa-kita Tax Office 01.jpg」(撮影:Higa4、CC0)

それでも、申告ソフトで書類を作るなら電子申告のほうが手間は少なくなります。

eLTAXには無料のソフト(PCdesk)があり、住所・名称の自動入力や税額の自動計算ができます。eLTAXは地方税のシステムなので、法人税の申告書(別表)は別の申告ソフトで作ってe-Taxで送ります。

会計ソフトと申告ソフト:自分でやる場合の組み合わせと料金

自分で申告する場合、決算書を作る会計ソフトと、法人税・地方税の申告書を作る申告ソフトの2つが必要です。3社の法人向けで最も安いプランを、公式サイトで確認しました(2026年11月4日時点、税抜)。

freeeマネーフォワード クラウド弥生
会計ソフト(最安プラン)freee会計 ひとり法人ひとり法人プラン弥生会計 Next エントリー
年払い35,760円29,760円34,800円
月払い3,980円3,980円2,900円
決算書の作成○○○
法人税の申告書(別表)freee申告(別料金)×(達人シリーズへデータを出力)×(達人シリーズへデータを出力)
申告ソフトの年額スタータープラン 29,800円達人シリーズの料金達人シリーズの料金
利用人数・制限1人。電話サポートなし1名。仕訳500件まで会計機能は3名まで
無料で試せる期間30日間1か月最大2か月

freee:申告書まで同じ会社で完結する

freee会計で決算書を作り、freee申告で法人税・地方税の申告書、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書を作ります。freee申告はe-TaxとeLTAXの両方に対応しています。ひとり法人プランとスタータープランの組み合わせで年65,560円(税抜)です。freee申告は期間の制限なく無料で試せますが、無料の間は一部の帳票を出力できません。

図2はfreee申告の公式サイトに載っている法人税の画面です。作成中の申告書として別表と地方税・添付書類(法人事業概況説明書)が並び、左のメニューに電子申告送信があります。

freee申告の法人税・確定申告の画面。作成中の申告書に別表一(青色申告)、別表二、別表四(簡易様式)などと、添付書類の法人事業概況説明書が並び、左に電子申告送信のメニューがある
freee申告の法人税の画面。別表、地方税、添付書類(法人事業概況説明書)、納付書を一覧から選んで作る

出典:freee株式会社「freee申告」公式サイト

freee会計のひとり法人プランは電話サポートが付きません。電話で聞きたいならスタータープラン(年65,760円・税抜)以上になります。

マネーフォワード クラウド:会計は安いが、法人税は別ソフト

マネーフォワードは公式FAQで、クラウド会計は法人税の申告に対応していないと案内しています。NTTデータの「法人税の達人」に取り込める中間ファイルを出力する形です。

ひとり法人プランは年29,760円と3社で最も安い一方、仕訳は500件までで、消費税申告書の作成は使えません(スモールビジネスプランも不可で、使えるのはビジネスプラン)。インボイス登録をしている会社は、プラン選びの段階で確認が要ります。なお料金ページには、2027年6月に料金体系の一部改定を予定していると注記されています。

弥生会計 Next:会計は弥生、申告書は達人シリーズ

弥生会計 Nextも法人税の申告書(別表)は作れません。達人シリーズ用のデータをエクスポートし、「法人税の達人」「消費税の達人」「内訳概況書の達人」に取り込んで申告書を作り、電子申告します。

マネーフォワードと弥生を選ぶ場合は、達人シリーズの料金と操作を別に確認してください。申告書の作成まで1つの画面の流れで進めたいなら、3社の中ではfreeeが合っています。会計ソフト自体の比較はひとり社長の会計ソフトおすすめ3選とfreee vs マネーフォワード クラウドにまとめています(どちらも主に個人事業主向けのプランで比べた記事です)。

自分でやる場合の手順

  1. 決算日の残高を合わせる:預金・カード・現金の帳簿残高を、通帳や明細の決算日時点の残高と一致させる
  2. 決算整理をする:期末までに発生して未払いの費用、未入金の売上を計上し、固定資産の減価償却費を計上する
  3. 決算書を確定させる:貸借対照表、損益計算書、株主資本等(社員資本等)変動計算書を会計ソフトで出力する
  4. 申告ソフトに取り込む:決算書の数字を取り込み、法人税の別表、地方税の申告書を作る
  5. 内訳書と概況書を作る:相手先ごとの残高、事業内容・従業員数・月別の売上などを入力する
  6. e-TaxとeLTAXで送信し、期限までに納付する:受信通知と申告書の控えを保存する

時間がかかるのは1と2です。日々の記帳が溜まっていると、決算日のあとに数か月分をまとめて登録することになり、2か月の期限が苦しくなります。個人事業主のときにfreeeで確定申告をしていた人は、記帳の流れはfreeeで確定申告するやり方と同じで、違うのは申告書の作成以降です。

税理士に頼む場合の費用

この記事では税理士報酬の相場の金額を載せていません。公的機関が公表している相場の数字や、出典を示せる調査が見つからなかったためです。

見積もりを比べるときは、総額より何が含まれるかをそろえて比べてください。

自分でやる場合の現金の負担は、freeeの組み合わせなら年65,560円(税抜)です。税理士の見積もりとの差額と、決算期の自分の作業時間を並べて判断します。

自分でやるのに向かない条件

次のどれかに当てはまるなら、少なくとも1期目は税理士に頼むことを検討してください。

条件理由
従業員を雇っている給与の源泉徴収、年末調整、社会保険の手続きが決算と別に毎年加わる
消費税の課税事業者(インボイス登録をした、資本金1,000万円以上など)消費税の申告書が加わる。マネーフォワードは低価格プランで作れない
役員報酬をこれから決める・変える期首から3か月の改定期限を過ぎると、増やした分が損金にならない
1期目が大きな赤字欠損金を繰り越すために、青色の承認と申告書の書き方を確実にしたい
固定資産・在庫・借入金が多い減価償却、棚卸し、内訳書の記載が増える
本店以外の都道府県・市区町村にも事務所がある地方税の提出先が増え、税額を分ける計算が要る

逆に、売上の取引先が数社、経費はカードと口座で完結、従業員なし、免税事業者という会社なら、自分でやる場合の作業の大半は日々の記帳です。1期目は税理士に申告書を作ってもらい、作られた書類を見ながら2期目から自分でやる、という分け方もできます。

制度の要点

項目内容
申告・納付の期限事業年度終了の日の翌日から2か月以内(法人税・地方税とも)
申告期限の延長定款等の定めで総会が2か月以内に開けない常況の法人が対象。事業年度終了の日までに申請して1か月延長。利子税がかかる
青色申告の承認申請(1期目)設立の日以後3か月を経過した日と1期目の事業年度終了の日のいずれか早い日の前日まで
欠損金の繰越青色申告の期の欠損金を10年繰り越せる。中小法人は所得の全額まで控除
均等割資本金等1,000万円以下・従業者50人以下で標準年7万円。赤字でもかかる。1期目は月割り
消費税資本金1,000万円未満なら1期目・2期目は原則免税。インボイス登録をすれば申告が必要
電子申告の義務資本金1億円超の法人など。ひとり社長の会社は任意

会社をまだ作っていない人へ

設立の費用と手続きはfreee会社設立 vs マネーフォワード クラウド会社設立、会社形態の選び方は合同会社と株式会社の比較で整理しています。設立時に会計ソフトをどこにするかを決めておくと、1期目の記帳を初日から同じソフトで始められます。

決算書から法人税申告まで

★★★★★ 4.5

freee会計で決算書を作り、freee申告で法人税・地方税の申告書、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書を作って、e-TaxとeLTAXで送れます。ひとり法人プラン(年35,760円・税抜)とfreee申告スタータープラン(年29,800円・税抜)の組み合わせで年65,560円。freee会計は30日間無料で試せます。

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よくある質問

法人の決算申告の期限はいつですか?

法人税の確定申告書は、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に所轄の税務署へ提出します。3月31日が決算日なら5月31日が期限です。法人住民税・法人事業税の申告も同じく2か月以内です。定款等の定めで定時総会が2か月以内に開けない常況にある法人は、事業年度終了の日までに申請すれば申告期限を1か月延ばせます。

赤字でも法人の申告は必要ですか?

必要です。所得が0円なら法人税は0円ですが、法人住民税の均等割は決算の状況にかかわらず課税されます。資本金等1,000万円以下・従業者50人以下なら標準税率で年7万円(道府県民税2万円+市町村民税5万円)で、1期目は事務所を置いていた月数で月割りします。また、青色申告で欠損金を10年繰り越すには、赤字の期も確定申告書を出すことが条件です。

会計ソフトだけで法人税の申告書まで作れますか?

freeeは、会計ソフト(freee会計)とは別の製品「freee申告」で、法人税・地方税の申告書、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書を作成し、e-TaxとeLTAXで送信できます。マネーフォワード クラウド会計と弥生会計 Nextは法人税の申告書(別表)を作れず、NTTデータの達人シリーズへデータを渡して作る形です。

ひとり社長でもe-Taxで申告しなければいけませんか?

義務ではありません。電子申告が義務になるのは、事業年度開始の時に資本金の額が1億円を超える法人などです。ただし申告ソフトで書類を作るなら、e-TaxとeLTAXでそのまま送るほうが、税務署・都道府県・市区町村の3か所に紙で出すより手間が少なくなります。

設立1期目に消費税の申告は必要ですか?

資本金1,000万円未満の法人は、設立1期目・2期目は基準期間がないため原則として消費税の納税義務が免除されます。ただし資本金1,000万円以上で設立した法人や、インボイス発行事業者の登録をした法人は課税事業者になり、消費税の申告が必要です。

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